魔導物語 八百万の神の国 エピローグ エピローグ 「…サタン様。このような請求書が届いておりますぞ?」 「請求書?」 シェゾが帰って少しの後、サタンの別荘である城に一通の書類が届いた。 「私は最近何も通販など…」 そう言いつつ、書きかけの書類を置いて目を通す。 「…よいちのゆみいっしきだいきん?」 サタンはこめかみにしわを寄せた。 だが、それ以上に険しい顔をしているのが枯れた木みたいなシワの顔の執事である。 「商人連合を通じて正式な書類で送られて参りました。サタン様、これは一体どういう件でございますか?」 「…こ、これは…」 サタンは瞬時に裏を読む。 シェゾだ。 シェゾの仕業だ。 しかもこの請求書の値段は一体何なのだ? 島が買えるのと違うか? 「こ、これを…私が払えと?」 サタンは冷や汗を流しつつ執事に問う。 いや、落ち着け。 考えてみれば奴が勝手に送りつけてきただけだ。 そう、私に支払いの義務など…。 「ですが、サタン様自らが与一の弓入手に協力すると言われております」 執事は即座にサタンの心の内を読んで先手を打つ。 「…い、言った…っけ?」 執事は間髪入れずに付け加える。 「証明書には、小物の魔物ですが間違いなくその趣旨が特定出来る記憶証明もついておりました。例の闇の魔導士が抽出したメモリーが添えられておりましたので、失礼ながら疑いの余地はありません」 「…あ、あう…」 「付け加えるならば、それはシェゾの使いと言う小物の魔物、アーちゃんとパノッティが持ってきたものです。疑うなら、お会いになりますか?」 「……」 「さて、サタン様。お仕事を増やしていただかなくてはいけませんな」 執事がにっこりと、サタンを睨みつける。 サタンはその日から暫くシェゾ達の前に姿を現さなくなった。 いや、現す暇が暫く存在しなかったと言うのが正しい。 人を呪わば穴三つ、とはまさしくこの事。 |